毎日顔を合わせるようになったものの
Aとの関係は特に進展しないままだった
愛嬌があってかわいいこだな
その程度の印象しかぼくは持ち合わせてなくて
特に彼女を意識することもなかった
皆で家に集まって美味しいご飯を作って飲んで
くだらない話をしたり
海外で暮らすことの難しさや楽しさ
ぼくの旅の話
スペイン語の勉強方法
たまには真面目な話をしたり
そんなことをしているうちに時間は過ぎていった
そろそろ移動しようかな
ただ過ぎて行く単調な日々に飽きてしまったぼくは次の街に移動することにした
もう戻ってくることはないだろう
仲良くなったみんなに別れを言って街を出た
次の街
その次の街
観光して移動して
いつものようにひとり旅を続けた
彼女から連絡がきたのは街を出て1週間ほどした頃だった
A「今日みんなで鍋するよ!JOJOも戻ってきなよ!」
そんな誘いのメールが届いた
うわー
鍋喰いてー
いいなー
いつものぼくならそう返事だけして戻らなかっただろう
でもこのとき無性に戻りたい衝動にかられた
なぜだか分からない
Aと会いたかったからという理由では決してない
何かに呼ばれてる
そんな感覚だった
気がつくとぼくはAが暮らす街に向かうバスチケットを買っていた
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