気がつくとぼくはAが暮らす街に向かうバスチケットを買っていた
大した距離を移動していなかったので5時間もバスに乗れば戻ることができる
「えー?ほんとに来たの!?絶対返ってこないと思ってたー!」
友達の家につくとみんなに驚かれた
「おかえりなさい」
Aはぼくの目をみてそれだけ言うと
何事もなかったようにみんなの輪に戻っていった
その夜は地元の友達も交えて遅くまで盛り上がった
「明日はお祭りのイベントで大きなコンサートがあるんだって。私たちは観に行くけどJOJOも一緒に行かない?」
街のお祭りはまだ続いていた
明日はフィナーレでコンサートがあるらしい
ぼくも一緒に観にいくことにした
翌日の夜
大人数なのかと思いきや
待ち合わせ場所に現れたのはAと別の女の子だけだった
3人で会場に向かう
野外に設営された会場は人が溢れて入場規制がかかっていた
既にコンサートははじまっており
辺り一帯に音が鳴り響いている
警備員に交渉するも入れてもらうことはできず
次の休憩時間まで待つように言われた
30分ほどで休憩時間になり
中から人がぽろぽろとでてきた
警備員に促され入れ替わりで入場する
会場内はひとがごった返していた
通路も塞がれていて
なかなか前に進むことができない
そんなこんなしているうちに
友達ひとりとはぐれてしまいAとぼくの2人だけになってしまった
演奏は既にはじまっている
落ち着ける場所を探しているとふとぼくの手になにかが触れた
Aの手だった
はぐれないようにってことだよな・・・・・
少しドキドキしながらそんなことを考えていた
そのままAの手を握りひとを掻き分けて歩く
なんとか場所を確保することができた
もう1人の友達の姿は見えない
ラテン音楽にあわせて身体を揺らす
もうはぐれる心配はない
それでもぼくたちは手を繋いだままだった
「楽しいね!」
ぼくの顔を覗き込むようにAは笑いかけてきた
ダメだ・・・・
もう我慢できない・・・・・
ぼくを覗き込む彼女に顔を近づけると
彼女は黙って目を閉じた
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