振り返った男の手には光るナイフが握られていた
やばい・・・・・
急に怖くなった
引くべきか
相手はぼくよりも小柄
決して強そうではない
このまま逃がしたくない
大声を出した
もう朝だ
ここは住宅街
起きてるひとは必ずいる
カバンに手を伸ばす
ぼくの手を遮るように男はナイフを振り回す
男も怖がっているようにみえた
激しい息づかいが聞こえてくる
ふと男の向こう側に止まっているバイクがみえた
バイクには男性がまたがっている
「ヘーーーーールプ!!!!!!!!!!!」
再び大声を出すがバイクの男はこちらの様子を伺っているだけでなにもしてくれない
仲間だ・・・・
このバイクで逃げるつもりなんだ
加勢してこないことだけを祈った
現状は1対1
向こうが怖がっている以上こちらにも分がある
そう判断した
再び揉み合う
「オラ!!!!かえせよ!!!!!」
日本語が通じる訳ない
助けを求めるため
相手を威嚇するため
そして恐怖に飲み込まれないよう自分を鼓舞するために大声を張り上げた
そして引っ張り合いの末
ベルトが切れたカバンは地面に落ちた
やった
カバンに手を伸ばす
次の瞬間
ナイフがぼくの前腕を直撃した
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