そこは離れ小島
エコロッジという名の電気も通っていない宿
ろうそくの明かりを頼りにぼくたちは自炊した夕食をとっていた
明日には本島に戻る予定
伝えるなら今夜だ
本島から持ってきたラム酒をあおる
「あのさ・・・・おれたち別々に旅した方がいいと思うんだけど・・・・・」
酔いがまわったところで切り出した
「・・・・・・・・どうして?」
現地の人との関わりについて
今の2人旅がぼくのやりたい旅とは違うことを説明した
Aの気持ちを重く感じていること
イライラすることが増えたこと
この2つは伏せたままにして・・・・
「私もバックパッカーだった時期があるし言ってることは分かる。分かるけど・・・・・」
「やっぱり嫌だ」
「私まだあと1ヶ月休みがあるんだよ?まだ一緒に居られると思ってたのに・・・・このあと私はどうしたらいいの?」
自分の休みなんだから好きにしたらいいんじゃ・・・・
と言える雰囲気ではない
「ごめん・・・・・」
謝るしかなかった
それでもなかなか受け入れてくれない
泣いたり怒ったり楽しかった時間を思い出して笑ったり
数時間の話し合いの末Aはついて折れた
「わかった。別々に行く。でもまた必ず会おうね」
そう言って目を閉じ顔を近づけてくるAを拒むことはできなかった
島から街に戻って1泊だけ同じ宿で過ごし
ぼくたちは別れた
バスターミナルで別々の行き先のチケットを買い
お互いのバスを一緒に待った
最後までAはキスを求めた
「じゃあまたね!気をつけて旅してね!」
情緒不安定にみえたAも最後は笑顔だった
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